Hey! 宇宙人!
流れ星のように地上に飛来してきたアレ。
アレはUFO? それともお釜? クリス松村はオカマ?
やきそばはUFO? カップヌードルは日清? うどんはどん兵衛?
着地したUFOらしきもの。
ドアがついているようで、そのドアがよくある自動ドアのようにウィーンといって開いた。アイーン。
開いたドアからあふれた光が夜の空地に注ぐ。
眩しい光の中から現れたのは、たまごっちのおやじっちとよく似た生物だった。
まず目を引くのは足がタコのように8本あること。
ヨレヨレの背広を着て、小島よしおがはいているような海パンをはいている。
頭の毛はバーコードハゲ。僕も将来はああなるのかな……。僕は潤んだ瞳でそいつを見つめていた。
その奇妙な生物が、UFOに備え付きの階段をスタスタと降りて僕たちのところへやってきた。
「我々ハ宇宙人ダ」
「我々」って、一人しかいないやんけ。
「細カイコトヲ言ウデナイ。我々ハ地球ヲ征服シニヤッテキタ」
この宇宙人が来るまで、僕たち3人は空地に酒とツマミを持ち寄って宴会をしていた。
3人だけの夜の宴。同じ課に配属された通称ジャイアンへの悪口を肴にして。
ここだけの話、独身女性24歳の姫は酒癖が悪く、酔うと関西人になる。
いい感じにできあがってきた姫が宇宙人に向かって言う。
「そんなこと言ってないでこっち来て呑もうや」
腹が減ったと言ってコンビニで買ってきた日清のカップヌードルを食べているヅラも言う。
「君もヅラにしたらどうかな?」
宇宙人の声がみるみる怒りを帯びていく。
「我々ハ地球ヲ征服シニヤッテキタ!」
一人で何ができるんだい?
見るからに弱そうだし。
「コレデモ喰ラエ」
宇宙人がそう言ってポケットから取り出したのは、
手のひらサイズのカピバラさんのぬいぐるみだった。
「ドウダ? カワイイダロウ?」
姫もヅラも宇宙人を無視して飲み食いをし続ける。
「ジャイアンむかつくよなー、完全に上から目線」
「ネクタイのセンスも悪いですよ」
「完全ニ怒ッタ。人質ニコイツヲ連レテ帰ル」
宇宙人が指を鳴らすと、哀れなヅラは宙に浮いて、UFOの方へ吸い込まれていった。
その事件以来、僕たちがヅラを見ることはなかった。
〜完〜
「待ったー! 「完」にさせるか!
正義のロイヤルヅラフラーッシュ!!!!」
ヅラがヅラを取ると、希代の必殺技・ロイヤルヅラフラッシュが発動する。
あたり一面、まばゆい光に包まれる……!
こうかはばつぐんだ!!
宇宙人が腹を抱えて痛がっているところを見ると、
宇宙人にだけダメージを与えるロイヤルヅラフラッシュのようだ。
目を白黒させた宇宙人は、「ウグアァァ」と低い声でうなって退散した。
宇宙人が駆け込んだUFOは、すごい音をたてて上空に浮かび、
そのまま高度を上げていき、やがて見えなくなった。
姫はよくやったと言って拍手喝采。僕も笑顔でヅラの帰りを出迎える。
僕たちは宴会を続けた。
こうして僕たちの夜は更けていくのであった。
【電波女と青春男】(OP PV-MAD)Os-宇宙人 [HD]